温かな暗闇

ライブハウスで目の当たりにする音楽と言の葉に何度救われただろうか。

消えぬ耳鳴りのせいで寝付けぬ夜を何度越えただろうか。

殺伐としたこのご時世に誰にも刃を向けず大好きな居場所への愛だけで人を、わたしを、包み込める歌なんか聴いた日には堪らない。ハンブレッダーズの最新曲「ライブハウスで会おうぜ」を聴いて胸が熱くなると同時に記憶を辿り始めたのである。

 

ライブハウスとの出会いはいつだっただろう。

元々某アイドルのファンをしていたのもあり、”ライブ”というものはずっと身近にあった。TDCや国際フォーラムをはじめとしたコンサートホールや各地ドームには馴染みがあったがライブハウスデビューはかなり遅かった。とある界隈のアイドルを追いかけていると自分の中では常に「指定席」「ステージ構成」「立ち位置」が重要視されてきたために所謂アーティストのライブ映像を見るとなぜメインステージしかないのか不思議で仕方なかった。身長が平均以下しかないので(指定席じゃないと姿もきっと見えないだろうし何が楽しいんだろう)とさえ思っていた。全く視界の狭い女よ。数年後の己に震えやがれ。

 

初めて行ったライブハウスは都内にある大塚Deepa。未だ鮮明に記憶している。

YouTube上で見つけた、いや、受動的に聴いたと書いた方が正解なのかもしれない、SSW・室井雅也のライブに行ってみたくなったのが始まりである。

 

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第一関門の取り置きも名前だけでいいのかフルネームなのかはたまたネット上の名前で予約してもいいのか小一時間考えた末、フルネームで予約。安パイ。

取り置きの方法が合っていたのかもわからないまま、ひとまず無意識に人様の迷惑にならない振る舞いができるように[ライブハウス マナー 初心者]でネット検索をかけ(ライブハウスの猛者が書いた記事だぞ)と己に焚き付けるように記憶し心の武装は完了。

 

いざ当日がやってきて大塚の地に足を踏み入れるやいなや、受付を見るなり(これは…初心者記事で予習したところだ!)と興奮を抑え冷静な声色と顔つきで難なくハードルを越えていく。はいいものの、どのタイミングでドリンクを交換するのがベストなのか、ドリンクをどこでどんなテイで飲んだらいいのか、そもそも重たい扉の向こうのゾーンに持っていくことが許されているのか、許されない再入場を前にもはやお目当てが出るまでどこにどんな気持ちで立ってたらいいのか全くわからなかった。

必死に己を保つ時間を越え、目当てのライブが始まるともう紀元前のわたしはいなかった。MVで聴くより、音源で聴くよりずっとずっと遠くまで届くような歌声と胸のずっと奥に響く曲に私の世界は広げられてしまった。

 

夢がありすぎず、自分に寄り添ってくれる音楽はあるのだと

齢22にして気づいてしまったのだ。

 

 

JUDY AND MARYという私の軸に

新たな音と言葉が結びつき始めた瞬間だった。

 

 

さて話は「ライブハウスで会おうぜ」に戻る。

 

 

僕たちの音楽よ このまま鳴り止まないで

 

 

この最後の一行に私たちがライブハウスで聴く大好きな音楽たち、彼らが聴いてきた全てのものへの愛を感じて胸の奥の温度がどんどん上がっていく。今までの曲から最新まで全てストーリー立てられた架空の主人公がいる夢物語なんかでは全く無くて、紛れもない私たちの、いや私のリアルに向けても歌ってくれている。鼻の奥がツンとして仕方がない。

僕たちの音楽、とはハンブレッダーズに限定する音楽ではなく、きっと広義的なもの。

僕たちの愛した音楽よ、どうか鳴り止まないでくれと。大切なこの密閉空間で。

DAY DREAM BEATのその先を共に感じているような気がしてならない。

 

 

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大袈裟じゃなくて、私にとっても居場所であるライブハウス。

心が持たなくなりそうな時に駆けこめる唯一の場所。

人に悩みを打ち明けたり相談するのが苦手な私にも寄り添ってくれる暗くて温かい場所。

奥に溜め込んでいたものも溢れさせてくれてしまう。

孤独にも寄り添ってくれるし、

現実とは半ば乖離したコミュニティに安心感を覚える日もある。

大切な音楽も、未だ見ぬ世界もある。無限だ。

 

初めてひとりで遠征したJANUSのエスカレーターが映るMV、どうしたって涙が止まらなくなってしまう。

 

 

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初めてのライブハウスであり、2週間後の若者のすべてでは取り急ぎ語感に頼って(語尾に「ズ」がつくバンドは全部行っておこう)と意気込むも最後までいられず、のちにこの日ハンブレを見なかったことに大後悔したり、をはじめとして思い出がありすぎる大塚Deepa。

踊footにのめり込んだ渋谷CROWL。

 

とけた電球にどっぷりハマった新宿MARZ

 

下北沢の街にドギマギしたモナレコード

 

とけた電球目当てで行った下北沢ERA。拳上げたり音楽にノるという概念がなかったため最前で見たいたのにも関わらず(人気あるんだな〜発表ですごい盛り上がってるなあ)と遠巻きにしっぽり見ていたハンブレにどっぷり肩まで浸かるなんてこの日の私は思ってもいないだろう。帰り道の耳鳴りは、ファンの勢いが怖かったけどスクマジ。頭から離れなかった。とけ電、キイチビール、ハンブレ、tonetoneが対バンしたこの日のライブ、願わくばもう一度観たい。

 

サクサクいこう。

 

遠征か?と思うほど電車に揺られ続けて室井くんと横ティンさんの弾き語りを見た府中flight。

 

居心地が良すぎる下北沢MOSAiC

 

のちに横ティンさんとはっとりさんの弾き語りツーマンを観る新宿Marble

 

整理番号1番取れたとけ電ワンマン、渋谷O-Crest

 

アダムくんの弾き語りがまた観たい、Wild Side TOKYO渋谷。

 

グッバイフジヤマ→ハンブレの流れが良かった、下北沢ReG。

 

ベースを聴いて人生で初めてカッコイイと思っちゃったでらしさん沼の始まりの日であるサニカーとハンブレの友達ツアー、O-WEST

 

耳栓ないと鼓膜が終わる新宿LOFT

 

FBFの弾き語りに涙し、勢いでレコ発名古屋のチケットを買ってしまったWWW。

 

ヒラべさんのファンブレ推しがものすごかった第一回グーパン下北沢SHELTER

 

湯葉、渋谷LOFT HEAVEN。

 

初めてのひとり遠征であり初めて大阪でライブするハンブレを観た心斎橋JANUS。

 

ハンブレのレコ発日程的に行けるな、と思い名古屋の前日にtonetoneとサニカーを見に行った京都GROWLY。slimcatもULTRA CUBもかっこよかった。

 

サニカーの物販やる気なくてめちゃくちゃ笑った名古屋APOLLO BASE。

 

ハンぶれは絶対ミニよりメインの方が似合うのに…!と勝手に悔しくなったO-EAST

 

同世代が誇らしく思えたKOTORIワンマン、恵比寿Liquid room。

 

ほぼ各駅に揺られて初群馬、時期もあってハンブレとうきさんとかもいさん宛にチョコレートを差し入れしたらかもいさんがすごく喜んでくれて嬉しくなった高崎club FLEEZ。

 

初ワンマン最前、渋谷クアトロ、名古屋UPSET。

 

ダッシュで乗り換え、梅田クアトロ。

 

人生初福岡、炙り明太子ならず、音がすごくよかった福岡Queblick。

 

時間差で同じ牛タン屋に行っていた、仙台FLYING SON。

 

スピッツにお呼ばれ、新木場STUDIO COAST

 

unity、F.A.D YOKOHAMA。

 

下にてから本気乗り換えで目指した、EX THEATER。

 

「しんどくなったらヘッドフォンの中から迎えに行ってやるから」にずっと救われてます、幕張メッセ

 

 

日常生活とは隔離した私のライブハウス。

ライブハウスで流れる愛する音楽たちよ。

いつかの誰かにとっての救いの音楽たちよ。

どうか、この先もずっとそこにいてほしい。

 

愛と優しさに溢れるこの歌をこの先もずっと心から離さなければ

こんな日常も踏ん張れる。

 

ライブハウスに行きたくて仕方なくて

でも、仕事の立場にも挟まれどうしようもなかった

こんな気持ちまで救ってくれたハンブレッダーズに心からの敬意を表したい。